ロードムービー 人生談話。

詩を、歌詞を、時に、日々の語り部を。

オープニング

如何にしてロードムービーが作られるのかを私は知っているし、今まさにその流れの中にある。それはこれからも続いていくだろうし、止まる術など初めから用意されておらず、そしてまた使命の如く、永遠に続いていくのだろう。子供の頃に描いた夢から現実の日々を実演する上での葛藤、暖かくも、ときに憎んでしまうほどの運命の演劇。


その日、いつものように、黒のベストを着て、レザボアドックスのマフィアのように、黒のネクタイを細めに仕上げてから、仕事場へと入っていった。店内には、お馴染みのフランク·シナトラが流れている。ボスのお気に入りで、朝から晩まで毎日ずっと流れている。同僚の中には飽き飽きしてるという者もいたが、私にはそれほど苦ではなかった。
むしろ、このアメリカ仕込みの高級ステーキ店にはピッタリのBGMとさえ思っていた。今日も完璧なサービスマンを演じて、終わった後、仲間とビールを飲むだけ、それだけが楽しみだった。その日、私が担当するゲストは5組で、1組目を終わり、2組目のゲストがテーブルに着いた時だった。。


それが始まりだったようにも思う。
劇的な伝え方をすればではあるが、、、。